太鼓判ブリーダー日記Vol.80

クローンのペットってどう思いますか?

[2021/09/23 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

中国の青島農業大学は、昨年12月24日に誕生したクローン猫の「平安(ピンアン)」が発情期を迎え、交配相手を募集していることがニュースになっていました。ピンアンはブリティッシュロングヘアの雌で、中国の大学で初めて飼育に成功しました。交配をさせる理由は、「生殖能力はクローン動物が正常かどうかを評価するための重要な指標」だそうで、そのために同種の交配相手を探しているということでした。

世界各国では動物を用いたクローン個体産生に関する研究が進んでいて、昨年7月には人の血液凝固因子関連遺伝子を組み込んだ羊の産生に成功しています。米国の研究者においては、体細胞の核移植による人の個体の産生を計画中だという報道もされていて、まるで映画のような出来事が実際に起ころうとしています。

私はそもそもクローン動物の産生には反対でした。クローン動物の研究が進み、それが確立されれば、前述した研究者のように、必ず人の個体の産生に手を出す人がいると思っていたからです。どんなに正しい方向だけに利用すると謳っていても、必ず悪事に利用する人が出てくることでしょう。人の個体の産生については、絶対にやめてほしい。世界各国で共通の認識のもと、しっかりと議論をして頂きたいと思っています。

猫の繁殖をしていて思うのは、それぞれが「唯一無二」であることです。すでに繁殖歴は21年になり、相当数の子猫を産出し、飼い主さんのもとへ送り出していますが、容姿や気質等、唯一無二であるからこそ、その存在がより愛おしく、愛さずにいられないのです。

亡くなった犬とそっくりな子が欲しいと、クローン犬を望む人がいるようですが、実際に手に入れたとしても必ずしも同じではないようです。クローン犬も生き物ですから、その後の飼育環境やしつけなどにより性格形成などが大きく変わります。「容姿は一緒でも私が愛した犬とはやることなすこと違う」と逆に幻滅してしまうこともあると思います。

私も多くの愛犬・愛猫を虹の橋へと見送りました。どの子も代わりなど考えられない唯一無二の存在です。再び現世で会いたいという気持ちがあっても、その子たちのクローンなど考えられません。どの子も私の心の中で生き続けていますから。

[Cattery Amangroup/阪根美果]