【ペット業界の2021年】痛みを伴いながらも変化を糧に自らを整えてこそ新しい道が開ける

[2021/12/31 6:01 am | ペトハピ編集長 國久豊史]

2021年は、辛丑(かのとうし)でした。「痛みを伴ないながらも、活動エネルギーを革新に繋げ、新たなものをつくり出すために、いろいろな事を整えるべき年」とされたように、いろいろな出来事があった1年でした。前年からのコロナ禍は、痛みを伴いながらも新規感染者数を減少することができました。

また賛否両論ありましたが、1年遅れで東京オリンピックが開催されました。「今年の漢字」でも「金」が選ばれたように、日本勢の金メダルラッシュに大いに元気づけられ、希望を持つことができました。

ペット業界では、今年6月に改正動物愛護法が公布され一部施行されました。この数値規制は、「悪質な事業者を排除するために、事業者に対してレッドカードを出しやすい明確な基準」であり、「自治体がチェックしやすい」という具体的なメリットがあります。2024年6月の完全施行に向けて第一種動物取扱業による適正飼養が段階的に厳格化されます。これは、人と動物の幸せな共生社会を実現するためには、必要な措置であることは間違いありません。

また、コロナ禍によるペット飼育者の増加と比例して、手放す人も増えているという問題も顕在化しました。実際に、保健所や動物愛護団体に持ち込まれたり、ペットの里親募集サイトで新しい飼い主を探す人も多く見受けられます。

理由を見ると、「こんなはずじゃなかった」というものがほとんどです。日常が戻って出社するようになったので世話ができなくなった。思った以上にお金がかかる。実際に飼ってみたら想像とは違っていたなど、飼い主の身勝手な理由で、迎えてまもない子犬や子猫が掲載されているのです。これは、「36回ローンで購入された猫の悲しすぎる結末」でも指摘されているように、飼い主の安易な購入と、流通の安易な販売に問題があります。

これまで、人と動物が共生したよりよい社会を実現するために、いろいろな施策が講じられました。しかし本当に必要なのは、どれか一つ要素ではなく、サプライチェーンのすべてにおいて“健全な”活動を追求することだと思います。生産者(ブリーダー)、販売(ペットショップ)、購買(飼い主)それぞれが犬や猫の健康と幸せに責任を持つことです。

特に、川上であるブリーダーと、川下である飼い主の意識が変わることが重要です。そして行動が変われば、川中であるペットショップやペットオークションは変わらざるを得ないのです。

具体的にみていきましょう。ブリーダーが健全さを追求すれば、自ずと直販になります。自分の産出した子犬・子猫に心からの愛情があるので、幸せに暮らせるように新しい家族を厳選し、生涯にわたってサポートするでしょう。健全なブリーダーは、命に責任を持ち、さらに飼い主に対しても責任を果たしているのです。ペットオークションやペットショップに卸してしまったら、愛する子犬・子猫がどうなったのかを知るよしもありません。

飼い主もそういった現状を知り理解することで、自ずと健全な飼い主になります。ブリーダー宅では、ペットショップのように衝動買いすることができません。子犬・子猫について事細かく説明を受けます。そして本当に生涯飼育できるのかを確認されます。この作業こそが「こんなはずじゃなかった」という事態を招かないための重要なプロセスなのです。そして、何か困ったことが起こっても相談できるので心強く、手放すということにはなりません。

ただ、国民生活センターが11月に公表したように、ブリーダーからの購入トラブルが増加しているようです。内容をみると、トラブルの原因は健全なブリーダーの対応とはかけ離れたずさんなものばかりです。資料には、「ブリーダーから購入する場合には直接会い、信頼できるブリーダーから購入しましょう」というアドバイスがなされています。直接会=対面販売は法律で義務付けられているので当然ですが、「信頼できるブリーダー」とはどういったブリーダーなのかには言及していません。

健全なブリーダーの要件定義やガイドラインは、環境省や動物愛護団体などどこを探してもありません。ペトハピでは、そういった現状を踏まえて独自の基準を設定して「太鼓判ブリーダー」として健全なブリーダーを紹介しています。その基準とは以下のとおりです。

・愛情をかけて少ない犬種・猫種を飼育している
・目が行き届く適正な頭数を維持している
・繁殖する犬種・猫種について高い知識がある
・飼育環境は整頓されて清潔(異臭がない)
・親犬・親猫の健康を考えた繁殖計画を徹底している
・血統を考えた繁殖をしている(ミックスは生み出さない)
・スタンダードを理解し、それに沿った繁殖を目指しているか
・遺伝的疾患に対する検査や定期的な健康診断をしている
・見学時に親犬・親猫を見せることができる
・社会性が身につくまで親犬・親猫・兄弟姉妹と暮らす
・自ら飼い主を厳選し、譲渡時には契約書等を交わす
・世界基準の血統書を発行している
・犬・猫の生涯にわたりアドバイス・サポートする


「愛情がないならブリーダーを辞めるべきという理由」でも説明しているように、上記の基準を満たさないブリーダーは、単なる繁殖業者です。犬舎・猫舎のサイトでは、さも健全さを追求しているように見えても、実際には異なっているケースも多いようです。訪問する前に、上記の内容を踏まえてメールで問い合わせてみるのも良いでしょう。

来年の干支は、壬寅(みずのえとら)です。その意味は「前年に蓄えたエネルギーがいよいよ活動をはじめる年」です。ペトハピは、持続可能な“真の”ペットとの共生社会を実現すべく、これまで温めていた計画をスタートします。
今年もご愛読ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

[ペトハピ編集長 國久豊史]