プラズマクラスターが、カビの生育を抑制することを実証

[2018/03/19 6:00 am | 編集部]

シャープは、プラズマクラスター技術によるカビの育成に抑制効果を発揮したという実証結果を発表しました。この実験は、カビ研究の専門家である県立広島大学の森永 力特任教授と共同で、カビ試験装置を使って一般家庭で繁殖する80%を占める5種類のカビにプラズマクラスターを照射して、その生育状況を確認するというものでした。

円筒試験装置

まず、プラズマクラスターについて簡単に説明しましょう。「プラズマクラスターはシャープだけ♪」というフレーズはみなさんも聞いたことがあると思います。自然界には、水素のプラスイオンと酸素のマイナスイオンが存在しています。プラズマクラスターの正体は、もともと私たちのまわりに存在しているそれと同じで、高い安全性が実証されているものなのです。

プラズマクラスターイオン発生のしくみ

では、どのような効果があるのでしょうか。放出されたプラスとマイナスのイオンが、菌やウイルスに付着して「OHラジカル」という物質をつくります。このOHラジカルは、強い酸化力を持っていて、菌やウイルス、アレル物質やニオイに作用して不活性化させます。これが「除菌・消臭」ということです。そのほかにも静電気を除去したり、保湿効果があったりします。

プラズマクラスターの原理と基本作用

今回の実験は、この除菌に関するものです。直径22cm×高さ50cmの円筒容器に培養したカビを入れ、プラズマクラスターイオン(平均200万個/cm3)を3日間照射して、カビの生長ステージごとの結果を見ています。

対象となるカビは下記のとおりで、一般家庭で繁殖するカビの8割を占める5種類。

・アスペルギルス(黒コウジカビ)
・ペニシリウム(青カビ)
・クラドスポリウム(黒カビ)
・リゾプス(クモノスカビ)
・ケトミウム(ケタマカビ)

カビは、胞子の発芽 → 菌糸の生長 → 胞子の形成 → 胞子の飛散というサイクルを繰り返します。試験1では、胞子の発芽及び生長に対する効果を検証しました。まず、カビの胞子を寒天培地のシャーレに撒いて、円筒装置内に設置して培養します。3日後確認すると、プラズマクラスターイオンを照射したほうは、ほぼ100%(99.9%以上)胞子の発芽及び生長を抑制することが確認されました。

試験2では、菌糸の生長及び胞子の形成に対する効果を検証しました。菌株を穿刺し寒天培地内部に植え付けし、円筒装置内に設置して培養します。3日後確認すると、プラズマクラスターイオンを照射したほうは、下記右側中段の写真のとおり、一部のカビにおいては培地内部に若干の菌糸の生長がみられるものの、培地表面にいおいてはコロニーが大きくならず胞子の形成も抑制されたことが確認されました。

さらに試験3では、寒天培地で十分に生長し胞子をつけたカビを円筒装置内に3日間静置し、その後、胞子を採取して別の新しい培地に撒いて12時間培養します。3日後確認すると、プラズマクラスターイオンを照射したほうは、発芽率が大幅に抑えられることが確認できました。

実証試験の結果

今回の結果でプラズマクラスター技術は、総合的にカビの生長を抑制する効果があることが確認されました。

でも、皆さんは「カビよりもウイルスやニオイの抑制効果のほうが切実だ」と思いませんか?
じつは、カビへの効果が高いということは、ウイルスやニオイに対しては、それ以上の効果があるといえるのです。カビは、ウイルスなどよりも細胞壁が固く複雑な生態なので、不活性化や抑制が難しいとされています。なので、カビに効果があるという時点で、ウイルスなどには圧倒的な効果はあるといえるのです。

今回は、円筒試験装置での実験でしたが、実際にペットと暮らす部屋はもっと広い。そんな生活環境において、販売されているプラズマクラスター製品で実証できれば、ペットにも飼い主にも快適な空気空間を提供できるということになります。今後にも期待したいですね。

[編集部]