Lesson 4

無理しない愛犬・愛猫介護のススメ 第4回「犬・猫の介護の心得」

[2019/06/18 6:01 am | 編集部]

犬も猫も年を取ってくると、今までのように動くことができなくなります。それは老化や病気などによるもので、歩くのを嫌がり散歩に行きたがらなかったり、自分で食事ができなくなったり、粗相をすることが増えたり、これまでできていたものができなくなったら飼い主が手助けをする必要があります。それが介護です。

介護を行うための心構えとは?

人間の場合と同じですが、介護が始まれば、それがいつまで続くのかわかりません。終わりが見えないことで、精神的にも肉体的にも追い詰められてしまうことがあるかもしれません。気負いすることなく、そして無理することなく、自分のできる範囲で行うようにしましょう。

また、自分一人で抱え込むことなく、ホームドクターに相談をし、家族にも協力をしてもらうことが大切です。飼育環境や犬や猫の性格もそれぞれ違いますので、みんな同じ介護というわけにはいきません。介護のやり方もそれぞれです。ですから、愛犬・愛猫の様子を見ながら、その状態に合わせて、飼い主がよいと思う方法を見つけてあげます。

愛犬・愛猫の介護をしてあげられるのは飼い主のあなたしかいません。そのような状況でも、ともに楽しく過ごせるように前向きな介護を心がけましょう。

介護のポイント

犬の場合:認知症や床ずれ等の介護が中心

犬の介護で多いのは認知症の介護です。人間と同じで、加齢により認識したり、記憶したり、判断したりする認知機能低下が起こり、日常生活に支障を起こしてしまうのが認知症です。長生きすればするほど、認知症になる確率は高くなります。

犬が認知症になった場合には、トイレの失敗、無駄吠え、徘徊、ぼーっとしている、飼い主のことを忘れるなどの症状が見られます。改善されないからと叱ったり、叩いたりするのは逆効果であり、認知症が進行する要因にもなります。犬が認知症になったときには、食事や排泄の介助、床ずれ対策など、その犬に合わせた介護が必要です。場合によってはオムツの利用も必要になります。かかりつけの獣医師や専門家等に相談しながら、症状に合わせた対処をしてあげましょう。

また、認知症を発症していなくても老化や病気などにより、寝たきりになってしまうこともあります。とくに大型犬が寝たきりになったときには、体重が重いだけに介護もより大変になります。床ずれなどもできやすいので、寝返りをさせる、マットを低反発素材にするなど圧力の分散をさせることも必要でしょう。飼い主の日ごろのケアが重要です。

猫の場合:加齢による病気の介護が中心

猫は犬のように認知症の症状が出ることはほとんどありません。猫の場合は、加齢とともに発症する病気によって、日常生活に支障が出ることがあります。その場合に介護をしてあげる必要が出てきます。老猫に多いのが腎不全です。気づいたときにはかなり進行していることが多いのがこの病気の特徴です。食欲の低下、体重の減少、毛艶がなくなるなどの症状も徐々に表れます。猫は我慢強く、体調が悪くてもギリギリまで自分で動こうとするので、寝たきりになることは少ないようです。猫の介護は病気に対応しながら、どのように食事をとらせるか、どのように薬を飲ませるかなどの介護が中心になるでしょう。

また、病気の早期発見・早期治療が何よりも大切です。若いころから定期的な健康診断を習慣にしておきましょう。

介護はコミュニケーションが大切

介護をしているときのコミュニケーションの取り方として、マッサージはとても有効的です。特に寝たきりの場合には刺激が少ないため、飼い主が声をかけながら体をほぐすことは、心と体の両方を癒すことができます。犬も猫も寝たきりになると関節や筋肉が固くなってしまいます。優しくマッサージをしてあげましょう。

1.屈伸運動をする

寝たきりになると、足を伸ばして横になる姿勢になります。そのまま、足を伸ばして動かさないでいると、1週間程度で膝が曲がらなくなってしまいます。いつも歩いているときと同じように、膝を曲げたり、伸ばしたりして、屈伸運動をすることで関節の固まりを防いであげましょう。

2.肉球を指圧する

肉球に刺激を与えることで、足の衰えを防ぎます。肉球のマッサージは、手前から足先に向かって、優しく、親指を使って指圧していきます。肉球の間にも刺激を与えます。

3.太ももとお尻をマッサージする

筋肉の量が多い太ももやお尻をマッサージすることは、血行が良くなるのでとても有効的です。手のひらを使って優しくマッサージしてあげましょう。

マッサージは1日5分程度でよいので、毎日続けて行うことが大切です。始める前には、声をかけて驚かさないようにします。マッサージの強さは「豆腐をつぶさずに触る」程度が最適です。飼い主の爪が伸びていると痛みを感じますので、爪の長さには気をつけましょう。アクセサリーや時計も外しておきましょう。また、マッサージで嫌がるところは痛みがあるかもしれません。とくに関節炎がある場合には、その箇所は避けるようにしましょう。

また、犬の場合は散歩に出かけることもコミュニケーションを取るよい手段です。カートに載せて外へ行くことは、飼い主にも愛犬にも気分転換になります。愛犬に話しかけながら、のんびりと散歩をするとよいでしょう

まとめ

もし、愛犬・愛猫に介護が必要になったら、「何をしてあげたらよいのだろうか」と不安になる飼い主さんも多いことでしょう。ひとりで悩まずに、かかりつけの獣医師や家族、また介護を経験した飼い主などに相談しながら行うことをオススメします。前向きに、悩まず、楽しく行うことが大切です。愛犬・愛猫もあなたの笑顔を見ていたいはずですから。

第5回は「食事の介護」についてお伝えする予定です。

[編集部]