思わずもらい泣き。「恩返しのペットの終活」レポート

[2019/12/26 6:01 am | 編集部]

先日、リソルグループが運営する多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」において、ペトハピと共催で「恩返しのペットの終活」ゼミを開催しました。

リソル生命の森は、“いきがい・絆・健康・くつろぎ”をテーマとした各種講座「お茶の間ゼミ&スクール」を開催しております。この一環として開催された今回の終活ゼミは、少人数の対話方式で行われました。

講師を務めたのは「ペットの終活」著者であり、ペットジャーナリストとしても活躍する阪根 美果さん。自身もメインクーンのブリーダーとして、また愛犬家として多くの死に直面してきました。そこで考えたこと、取り組んだことなどをまとめたのが「ペットの終活」であり、実践するための情報を網羅したのが「ライフノート」です。当日は、このテキストとノートを使って、わかりやすく説明しました。

■参加者は愛するペットを亡くした経験者

阪根さんの問いかけに、参加者のほとんどの方はペットを亡くした経験をお持ちでした。すでに新しい家族を迎えた方、まだペットロスから抜け出せない方もいらっしゃいました。みなさんに共通していたのが、「もっとちゃんと考えておけばよかった」「まったく準備していなかった」ということでした。

結局のところ、ペットのロスの浅深は、後悔の念と準備不足の度合いによって決まります。飼い始めたときは、愛するペットの死など考えません。しかし、実際に犬や猫は、人間の約4倍のスピードで年を重ねていきます。人間の生涯よりも、とても短いのです。平均寿命は小型犬・中型犬で15年、大型犬で10年、そして猫で15年。単に時の流れに身を任せて過ごしているだけだと、あっという間にペットは旅立ってしまいます。

まだ、ペットの終活は緒に就いたばかりともいえます。多くは、シニア期以降の犬や猫の終焉をテーマに、最後の過ごし方や供養の仕方に重きを置く考えになっています。しかし、ペトハピの提案するペットの終活は、私たちの終活と同じで「命には限りがあることを意識して、後悔のないように、いまを楽しく有意義に過ごす」ものだと考えています。そう、「死」ではなく「生」をテーマにしていることが、他の一般的なペットの終活とは異なる視点です。

■「ペットの終活」の具体的な進め方

終活ゼミは、ペットの終活テキストとライフノートを使い、参加者と対話しながら進められました。疑問があったりした際は、その都度質問し、回答するなど活発に進行されました。具体的な取り組み方法としては、大きく分けて下記の4つでした。

●医療・保険
●想い・思い出
●介護・ホーム
●供養・お墓

参加者のみなさんは、特に医療や介護、供養・お墓に関心をお持ちでした。病気になったときには、飼い主として、ホームドクターとしっかり治療方針を決めることが重要だそうです。その第一歩は、信頼できるホームドクターに出会うことが重要だといいます。移動距離は30分程度までが理想。説明など対応に不安や不満を感じたら、セカンドオピニオン、サードオピニオンと納得できるまで妥協しない。そして、自分の専門外であれば、より高い知識や技術のある獣医師を紹介できるようなホームドクターが理想だといいます。

実際に阪根さんも、愛犬のボルゾイがドッグランで遊んでいるときに足を粉砕骨折してしまったときには、ホームドクターでは手に負えず、すぐさま専門技術をもつ獣医師に連絡してもらい、緊急手術をしてもらったそうです。そのホームドクターは、専門獣医師と連携し、その事例を元にして自身でも学び知識としていったようです。こうした判断と行動ができるのが信頼できるホームドクターといえるでしょう。ブリーダーは、そういったホームドクターを知っているので相談するとよいそうです。

また、介護についても同様です。一般的に、大型犬よりも小型犬のほうが、介護が必要なケースが多いようです。自身で介護をするのか、ホームにお願いするのか。飼い主として、または家族とも十分に話し合っておくことが必要だそうです。仮にホームに預けるにしても、事前に環境を確認したり、頻繁に面会に行けるなど、準備をしておけば安心のようです。そして、ペットが寝たきりや認知症になったときの介護の方法や方針、延命治療について考えておいたほうがいいようです。家族であれば、みんなの考えを統一させておく必要もあります。

阪根さんは、ブリーダーとして多くの死に向き合ってきました。もちろん、そのなかには寿命を全うすることなく、病気で亡くなる場合もあったそうです。そのとき、延命治療をするかどうかを決定するのは、苦しそうにしている犬や猫に意識があるかどうかがポイントだと言います。助かる見込みがなく、これ以上痛みや苦しみを取り除く方法がない場合、意識があるのであれば安楽死させてあげるのも愛情だと「あくまでもこれは私の考えですが」と前置きをしながら話します。辛いことですが、獣医師と相談しながら延命治療に向き合っているそうです。

■意外に知られていない葬儀やお墓のこと

あとは葬儀やお墓の話も、みなさん知らなかったことが多かったようです。例えば、人間の場合、地域差はありますが関東と関⻄では火葬したあとの「収骨」の考えが異なるようです。関東では、遺骨のすべてを骨壺に収めますが、関⻄では一部のみになります。なので、関東の遺族が、関⻄出身者が経営する葬儀社に愛犬・愛猫の火葬をお願いしたら、遺骨の一部しか返還されずに問題になったこともあったようです。

このように、地域によっても違いがあり、さらに費用にも大きな違いがあります。バタバタと決めてしまうと、あとで後悔がつのり、深いペットロスに落ちてしまいます。葬儀や供養においても事前に、望ましいペットに合った供養スタイルを考えておく必要があります。

また、ペットの終活は飼い主のためにだけでなく、ペットのためでもあるといいます。飼い主であるみなさんにも万が一があります。その際に、残されたペットが路頭に迷わないようにするのも終活の重要な役割です。しっかり情報が整理されていれば、それが新しい飼い主さんへ伝えるための御守りにもなるのです。愛情溢れるノートを見れば、きっと大切に育ててくれることでしょう。

このように阪根さん自身や参加者の経験談なども交えながら約1時間半は、あっという間に過ぎました。みなさん、話を聞きながら真剣にメモされ、愛する家族を思い出して涙する方なども見られました。ゼミ終了後も30分以上いろいろな話で盛り上がり、最後にはペットロスから抜けられなかった方も「そろそろ家族を迎えようかと思います!」と前向きな気持ちになったと話されていました。

ペットの終活は、誰でも、いつからでも始めることができます。難しく考えるのではなく、これからどんな生活を一緒に送りたいかを考え、それにそって必要なことを、一つひとつ考えればいいのです。そうすることで、きっとあなたもペットも幸せな時間を過ごすことができるでしょう。

ペトハピでは、今後も定期的に「ペットの終活ゼミ」を開催します。日程はペトハピ、Facebookでお知らせいたしますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

[編集部]