犬との暮らしで知っておきたいこと Vol.161

【犬飼いTIPS】米国で発生した「謎の呼吸器疾患」について私たちが知るべき事実

[2024/01/29 6:01 am | 編集部]

米国のいくつかの地域で、伝染性の呼吸器疾患が犬に影響を与えているという記事を目にした人も多いと思います。この「謎の呼吸器疾患」は、昨年6月下旬に初めてニューハンプシャー州で確認され、オレゴン州、コロラド州、イリノイ州、アイオワ州など、ほかの州でも発生しています。

ケンネルコフに似た症状で始まり、肺炎に進行する場合もあります。しかし、その原因はまだ不明のままです。日本ではまだ確認されていませんが、発症する可能性は否定できません。

この新たな病気についてこれまでにわかっていること、愛犬の安全を守る方法をご紹介します。

謎の呼吸器疾患の徴候や症状

謎の伝染性呼吸器症候群(CIRDC)は、気管の慢性的な炎症を引き起こし、約6~8週間続きます。ほとんどの犬は、咳やくしゃみ、目やにに鼻水など、ケンネルコフに似た症状を示します。

残念なことに、この疾患は肺炎を引き起こすこともあり、重篤な合併症や死に至る可能性があります。米国獣医師会(AVMA)によると、オレゴン州農務省(ODA)がまとめた獣医師の症例報告では、ほとんどの症例で「抗生物質がほとんど効かないか、まったく効かない」としています。

謎の伝染性呼吸器症候群のもっとも一般的な徴候は次のとおりです。


くしゃみ
鼻水
目やに
呼吸困難
ぐったりしている
食欲不振


もし、上記の症状や徴候に気付いた場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。この疾患は伝染性があるため、ほかの犬に近づけないようにしてください。

謎の呼吸器疾患の原因

この疾患の原因はまだ不明ですが、研究者たちは一般的な犬のウイルスや細菌による可能性を否定しています。罹患した犬のなかには、気管支炎の原因菌として知られるマイコプラズマが陽性反応を示した犬もいますが、これが根本的な原因ではないようです。

コロラド州立大学による臨床所見と現在までに行われた検査から、謎の呼吸器疾患を発症した犬のほとんどは、主に呼吸器系を標的とするウイルスに感染しており、罹患した犬では二次的な細菌感染と肺炎を引き起こしていることが示唆されています。

コーネル大学によれば、この疾患は他の呼吸器疾患と同様に、犬同士の直接的な接触や、咳やくしゃみによって生じた飛沫による空気感染や物との接触によって感染すると考えられるとしています。

まとめ

この謎の呼吸器疾患の原因は依然として不明であり、いろいろな研究機関で疾患を引き起こすウイルスや微生物を特定するために、症例が疑われる検体の検査を続けています。

幸いなことにまだ日本では発症の報告はありませんが、どのような経路で感染するのかはわかりません。ドッグランなど混雑した場所で調子の悪そうな犬がいたら避けるようにしましょう。また、食器の共有もやめましょう。

もし、呼吸器疾患の徴候や症状が見られた場合は、すぐに動物病院で診察を受けましょう。また、混合ワクチンの接種が推奨されていますので、いま一度接種期限を確認しましょう。

[編集部]