最近、セアカゴケグモについてのニュースが増えています。毒を持つクモとして人間の被害が報告されていますが、いまや日本中に生息する外来生物です。初めて日本で発見されたのは1995年。比較的最近であるため、このクモの危険性について日ごろから意識している人は少ないようです。国内では45都道府県で確認され、注意を促しています。今回は、全国的に広がりを見せているセアカゴケグモについてのお話です。
散歩時には注意が必要
犬の散歩時には思わぬ危険が潜んでいます。犬は興味があるものに鼻を近づけたり、草むらのなかに入って行ったり、日常的にセアカゴケグモに遭遇しやすい状況下にいます。人間とは違い、犬は裸足ですのでより被害に遭いやすいです。そのため、飼い主が危険を察知し、愛犬が被害に遭わないように注意する必要があります。
そもそもセアカゴケグモってどんなクモなの?
オーストラリア原産の外来種で、もともと日本には生息していませんでした。港があるところで発見されるようになったことから、船に乗って移動したと考えられています。繁殖力が強く、1度に5000個以上の卵を産むため、あっという間に広がり、全国的に確認されるようになりました。
メスの体長は約7~10㎜、オスの体長は約4~5㎜。毒性が強く、有害なのはメスのみで、オスは毒が弱いため問題はありません。足を広げると1円玉くらいで、背中に赤いリボンのような模様がついています。おとなしい種類のクモですが、近づくと攻撃してくるので注意が必要です。地上を徘徊する昆虫等を捕食しているので、地面に近い場所に生息しています。そのため、飼い主より先に犬が鼻を近づけるなどして接触をする可能性が高いのです。
日当たりがよい場所や暖かい場所にある物陰や隙間、ベンチの裏、自動販売機の下、ブロックやフェンスの隙間、エアコンの室外機の下、排水溝のふたの裏や側面、外においてあるサンダルのなかなど、注意すべき場所はたくさんあります。それらの場所などに複雑な形状のクモの巣を張り、卵のう(卵の入った袋)をぶら下げていることが多いので、散歩中はそれらの場所に近づかないほうがよいでしょう。
咬まれたらどうなるの?
セアカゴケグモの毒は、神経系全般にわたって働く神経毒で、運動神経系や自律神経系が阻害されます。人がこのクモに刺されると、時間の経過とともに咬まれた部分に痛みと腫れが起こり、全身の痛みや発汗、寒気、吐き気、発熱等が現れます。アナフィラキシーショックを起こすことはありません。日本においては重症化の報告はないとされていますが、オーストラリアでは死亡例もあり、もし咬まれた場合には119番通報し、血清のある病院で診察を受けることが大切です。多くの人は数日で症状が緩和されますが、ほとんどの場合は入院することになります。
この毒に対する感受性は猫・馬・ネズミ類が高く、鳥類・両生類は低く、人や犬はその中間といわれています。いまのところ犬の大きな被害報告はありませんが、犬の場合も同様の症状、もしくは人間以上のダメージがあると考えられています。オーストラリアでは古くから「毒グモ」として恐れられてきました。
もし、犬がセアカゴケグモに咬まれた場合には、人の対処法に準じて行うことが推奨されています。傷口を洗い余分な毒素を洗い流して、早めに動物病院を受診しましょう。血圧の上昇や呼吸困難等の症状が出ることがありますので、診察が必要です。その際には、セアカゴケグモに咬まれたことを必ず伝えましょう。
セアカゴケグモと同様にハイイロゴケグモも西日本を中心に確認されています。 亜熱帯地方原産のハイイロゴケグモの色彩はさまざまで、腹部や背面が真黒のもや の、茶色や灰色を基調として斑紋を有するものなど変異が多く見られます。咬 まれるとセアカゴケグモと同じような症状がでるので、注意が必要です。
まとめ
セアカゴケグモの認知度はまだまだ低く、このクモに注意して散歩をするという習慣がまだありません。しかし、どんどん繁殖をしてセアカゴケグモの生息地は45都道府県に及んでいます。もし愛犬がセアカゴケグモに咬まれたら、その痛さで激しく鳴くことでしょう。その場合には、セアカゴケグモに咬まれたかもしれないと疑ってみることも必要です。愛犬が咬まれることがないように、散歩時には十分に気を付けてあげましょう。