猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.124

【猫飼いTIPS】愛猫の健康診断について知り、なぜ重要なのかを学ぼう

[2023/03/24 6:01 am | 編集部]

年に一度の健康診断は、愛猫の健康を維持するための大切な検診です。健康診断は、獣医師が単に一通り確認しているだけように見えるかもしれませんが、実際にはかなり重要なことがチェックされています。今回は、年に一度の健康診断についてのお話です。

なぜ年に一度の健康診断が必要なの?

私たちは年に一度の健康診断を受けるのは常識です。それは愛犬・愛猫も同様です。私たちは「体調に問題がないから」と健康診断を後回しにしたり受けなかったりすることがありますが、猫は自分で症状を訴えることができないので、私たちが健康上のリクスを察知してあげる必要があるのです。

猫は生存本能から、病気の兆候をできるだけ隠そうとします。幸いにも、動物病院で健康診断を受けることで、健康上の問題が深刻化する前に検査で発見することができます。

米国動物病院協会(AAHA)と全米猫獣医協会(AAFP)による「猫のライフステージに関するガイドライン(Feline Life Stage Guidelines)」では、成猫は年に1回、シニア猫(10歳以上)は半年に1回、獣医に診てもらう必要があるとしています。

さらに、慢性的な疾患を持つ猫の場合は、追加の診察が必要な場合もありますので、ホームドクターと相談して愛猫に最適な診断計画を立てるようにしましょう。

健康診断の準備

丈夫で安全なキャリーに入れて運びましょう。普段からリードやハーネスなどで散歩している猫でもキャリーに入れて連れて行くことをお勧めします。なぜなら、動物病院では多くの犬や猫が待っているので、愛猫がどんな行動を取るかわかりません。

通常は全員の安全のためにペットをキャリーに入れておく必要があります。待合室で猫を抱っこして待つのは避けたほうがよいでしょう。

もし、愛猫が車内や動物病院でストレスを感じるようなら、事前に猫に安全な鎮静剤を処方してもらうのもよいでしょう。また、猫がリラックスできるフェロモンやアロマをキャリーに入れたり、愛猫の好きなおやつを持参するのもよいでしょう。

あとは、最近気になっていること(愛猫の状態や行動など)、食事、うんちやおしっこの状態、最近の病気や通院記録(服用している薬やサプリメント含む)などをメモしたり、記録があれば持参すると受診をスムーズにできます。便のサンプルを持参することを指示されることもあるかもしれません。

健康診断では何を調べるの?

通常10分足らずの検査ですが、獣医師は猫の頭から尻尾までくまなく観察しています。家では気づかない病気の初期症状も含めて、獣医師は猫の健康状態について多くを把握します。

まず獣医師は、食事(食欲や飲水)、トイレの様子、行動全般について質問します。体重を測定し、体温、心拍数、呼吸数を調べることもあります。また、ホームドクター以外であれば、最近の疾患や服用している薬なども聞かれることがあります。

健康診断には、観察・触診・聴診・検査が含まれます。獣医師はそれぞれ独自の方法で検査を行いますが、多くの獣医師は頭から順番に体の各部分を注意深くチェックします。

初期観察

獣医師は、あなたの愛猫のこれまでの生活を簡単にヒアリングした後、容姿全体を観察します。獣医は、猫の外見について、いくつかの重要な点を評価します。

【ボディコンディション】体重が適切かどうかを判断する
【認知レベル】ちゃんと認識し、反応できるかを確認する
【歩行や姿勢】足を引きずったり、ふらつきがないかを確認する
【水分補給状態】皮膚の弾力性から、脱水状態を確認する


頭と首

愛猫の頭を診察し、左右非対称、しこり、こぶ、そのほかの異常がないかを確認します。頭と首を動かして可動域を確認し、痛みがないかを観察します。

次に、検眼鏡を使用して眼球内を検査し、さらに耳鏡と呼ばれる小さな円錐形の器具を使って、外耳道の状態を確認します。

最後に口腔内のチェックです。歯の状態を確認し、唾液腺、リンパ節、気管を触診して甲状腺が肥大していないかどうかを調べます。

胴体と四肢

成長異常、非対称性、柔軟性、可動域、痛みがないかを調べます。背骨や骨盤、リンパ節などの触診や、手足を動かしてみます。また、足や爪、皮膚も調べます。関節炎や皮膚病、ノミやダニなどの寄生虫が見つかることもあります。

心臓と肺

聴診器で心臓と肺の周辺を複数の場所で調べます。猫の心拍数と呼吸数を測定し、心雑音や不整脈(心臓のリズムの異常)、肺の音(クラックや喘鳴など)に異常がないかを確認します。

腹部

腫れやあざ、そのほかの異常がないか目視で確認後、腹部を触診します。肝臓、腎臓、胃、腸、膀胱などの触診を行います。また、聴診器で腹部の音を聴き、臓器の働きを評価することもあります。

生殖器部

肛門周辺とペニスまたは外陰部をざっと見て、腫れや分泌物、腫瘤、肛門嚢のトラブルなどをチェックします。

検査結果の説明

検査が終わると、獣医師は検査結果を説明し、異常があればお知らせします。また、必要に応じてワクチン接種を提案されます。シニア猫や異常が見つかった場合は、次のような検査が推奨されることもあります。

・血液検査
・糞便検査
・尿検査
・フィラリア検査
・猫白血病ウイルス(FeLV)検査
・猫免疫不全ウイルス(FIV)検査


診断中に異常が見つかった場合は、X線検査や超音波検査などの追加診断をすることもあります。

猫の健康診断の費用はどのくらい?

健康診断の費用は5,000円程度ですが、動物病院や地域によっても異なります。料金には健康診断と獣医師によるカウンセリングが含まれますが、追加検査代やワクチン代、医薬品代などは含まれません。

費用な心配な場合は、年1回の健康診断時期になったら、事前に動物病院で料金を確認したり、見積もりを出してもらうとよいでしょう。

まとめ

愛猫をキャリーに入れ、クルマに乗せて動物病院に連れて行くのは「ペットにストレスがかかりすぎる」と感じ、よほどのことがない限りは動物病院にいかない飼い主も多いようです。

猫は病気の症状を隠そうとするため、猫の病気が進行し命にかかわる段階になって初めて「おかしいな」と気づくことも少なくありません。そうなってから後悔するのではなく、病気の早期発見・早期診断を行い、治療や予防を行うことが重要です。

[編集部]