猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.85

【猫飼いTIPS】猫は仰向けに寝っ転がっても、お腹を触らせてくれないのはなぜ?

[2022/06/20 6:01 am | 編集部]

犬はよく仰向けになって、お腹を撫でてもらうことをアピールします。猫も同じような行動をしますが、必ずしもお腹を撫でて欲しいからとは限りません。今回は、猫がお腹を見せてゴロンと寝転がるときのお話です。

信頼のあかし

猫の行動学者に、なぜ猫が寝返りを打ってお腹を出すのかを質問すると、「信頼の証です」と答える人が多いでしょう。確かにそうです。しかし、それはお腹を撫でてほしいという誘いでもあるのでしょうか?

猫がお腹を見せるということは、あなたを信頼しているということですが、お腹を撫でてほしいということではありません。1~2回お腹を撫でると、すぐに後ろを向いてしまったり、どこかに行ってしまうことがあるでしょう。

すべての猫が仰向けになって、お腹を見せるわけではありません。この体勢では、無防備になるからです。数秒間、お腹を撫でてあげると、すぐに満足するのか元に戻ります。

もちろん、信頼していても仰向けになってお腹を見せない猫もいます。横向きになって半分お腹をみせて、ブラッシングをせがむのが限界の猫もいます。

また、一度も仰向けになってお腹を見せない猫もいますが、必ずしも信頼していないという意味ではありません。

ふれあいゾーン

猫がお腹を守るのには理由があります。まず、重要な臓器がお腹にあるから。そして、仰向けの体制は無防備な状態であること。引っ掻いたり、噛んだりすることはできますが、通常よりも困難です。もちろん、この体勢では走ったり、ジャンプしたりすることができません。

仰向けになるのは、防御の姿勢とは正反対の姿勢です。四つん這いになって背中を弓なりにして毛を逆立て、尻尾を立てるのは、猫が恐怖を感じ、脅威を追い払おうとするときにとる姿勢です。

横向きに寝転がっている際に脇腹を撫でてあげるのがよいでしょう。また、頬やあごを撫でられるのが好きなため、あごを突き出すことが多くなります。尻尾の付け根を掻かれるのが好きなので、お尻を出す猫も多くいます。しかし、仰向けになる猫は少なく、仰向けになっても、お腹を撫でようとすると、すぐに向きを変えてしまいます。

ローリング行動とは

英国での研究では、ローリング行動(ごろごろと転がり回る動作)には、いくつかの猫の社会的機能があることがわかりました。猫が仰向けになり腹部を見せる仕草は犬のような行動を連想させ、その姿勢が数分間も続けられたといいます。

そして、ほとんどの場合はほかの猫の前で行われました。ローリングする猫は相手の猫に素早く近づいて動作を始めることが多く、直前の行動に対する反応ではなく、自ら始めた相互作用であるとされました。また、興味深いことに、猫たちはローリングするときに声を出しませんでした。

メスは発情期にオスの成猫の前でローリングするのはよく知られた行動です。これは、交尾の準備が整っていることをオスに示すためのものです。

しかし、ローリングする猫の過半数はオスでした。ほぼすべてのケースで、若いオスが年長のオスの前でローリングしていたのです。その際、年長のオスは若い猫の存在を無視する見ているだけでした。この場合のローリングは攻撃を防ぐための服従行為である可能性があると考えられています。

まとめ

猫は、猫同士の行動の多くを人間にも行います。愛情を与えたり受け取ったり、信頼を示したり、平和を保ったりするさまざまな方法を知っています。

膝の上に乗る猫もいます。頭をポンポンしてくれる猫もいます。好きな人の隣に座るのが好きな猫もいれば、声を出して撫でたりブラッシングを求めたりする猫もいます。

もちろん、仰向けになってお腹を見せる猫もいます。ただ、その際には猫が不快に感じる合図に気をつけましょう。すぐに向きを変える、手を叩く、手をひっかく、手を噛むなどが、それにあたります。

年齢や個体によって好き嫌いや程度があります。子猫同士で遊んでいる際にお腹を見せていることはよく見られます。また、筆者の愛猫は、お腹を撫でられるのが大好きで、そのときにはロゴロゴと喉を鳴らします。

[編集部]