猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.25

【猫飼いTIPS】猫の「睡眠」について考えよう

[2020/10/05 6:01 am | 編集部]

猫の語源は「寝る子」からきていることは広く知られています。猫の睡眠時間は1日の約3分の2程度といわれています。子猫時にはさらに長く22時間くらい寝ることもあります。じつは、野生動物のネコ科のライオンやトラなどの肉食動物も、1日の睡眠時間は13~15時間といわれ、草食動物と比べると圧倒的に長いのです。今回はそんな猫の「睡眠」について考えてみましょう。

睡眠時間の長さは狩猟本能が大きく影響

草食動物は自然界の弱肉強食のなかでは、肉食動物より弱い立場にあります。ゆっくり眠って油断をすれば肉食動物に狙われ命を落とすことになるので、横になって眠ることはほとんどありません。そのため、どうしても起きている時間が長くなります。しかし、肉食動物はその草食動物を捕食するという強い立場にあるので、獲物が動き出す時間までは、そのときに備えて横になって体を休めています。狩猟に費やせるだけのエネルギーを温存しているのです。

猫は犬と違って品種改良の歴史も浅く、そのぶんだけ野生の本能を強く残しています。そのため、狩猟本能が受け継がれ、それが睡眠時間の長さに表れているのです。

浅い眠りと深い眠りの繰り返し

じつは、猫も人間と同じように「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返しています。一般的に「レム睡眠」とは脳が活発に働いていて、記憶の整理や定着が行われているといわれています。目がピクピクと活発に動く「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」があることから、REM(レム)睡眠と呼ばれています。一方、「ノンレム睡眠」はREM(レム)がなく、大脳が休息していると考えられています。脳や肉体の疲労回復のために重要な睡眠といわれています。猫はこの「ノンレム睡眠」の間に自身の細胞を修復し、再生しているのです。

猫の場合の「レム睡眠」では、眼球だけでなく手足やヒゲなども動いています。愛猫が眠っているときにピクピク動いているのを見たことがある飼い主も多いことでしょう。物音がしたり、誰かが近づいてきた場合には、すぐに目を開けて状況を確認し、そして安全だとわかれば、また寝始めます。このような「レム睡眠」の時間は、人間の3倍ほどあるといわれています。ですから、少ない「ノンレム睡眠」をいかにしっかりととれるかが、猫のエネルギーの温存には重要なのです。

人間との暮らしが猫の眠りに変化をもたらしている

動物は活動する時間によって、「夜行性」「昼行性」「薄明薄暮性(夕暮れや朝方など薄暗い時間に活動する)」の3つに分類されますが、猫は「薄明薄暮性」に該当します。しかし、完全室内飼育で人間とともに暮らすようになって、人間の睡眠サイクルと同く夜にぐっすりと眠る猫も多く見られるようになりました。よくいえば環境に適応しているということですが、その睡眠の長さや質は決してよいとはいえません。

人間とともに暮らすなかでの睡眠には、自然界とは違う障害が多々あります。例えば、照明の明るさやさまざまな生活音が猫の眠りの妨げになることもあります。愛猫が寝ているときには心地よく眠れるように、飼い主が静かな環境を整えてあげることも大切です。照明の明るさやテレビの音量などを落とすなど、ある程度の配慮をして愛猫の「ノンレム睡眠」を確保してあげることが必要でしょう。

また、猫は人間と暮らすことで狩りをする必要がなくなりました。エネルギーを使用する場面がなくなったために、肥満になり、そこから糖尿病や膵炎などの病気を誘発しているという面もあります。狩猟本能が残る猫の健康のためには、おもちゃで遊びながら狩りの疑似体験して、達成感や満足感を与えることが大切です。獲物を仕留めたあとの食事はおいしいでしょうし、エネルギーを効率よく吸収することで、質のよい筋肉をつくることができます。それは眠りの質の向上に繋がり、しっかりと「ノンレム睡眠」をとることにも繋がるのです。

まとめ

猫にとって長時間の睡眠は、少ない「ノンレム睡眠」を確保するためにとても重要です。飼い主の配慮によって、愛猫の心地よい睡眠を確保してあげましょう。そして、1日に1回、狩りの疑似体験を習慣にしてあげてください。そうすることで、より生き生きとした姿を飼い主に見せてくれることでしょう。

[編集部]