太鼓判ブリーダー日記Vol.60

子猫の旅立ちは嬉しくもあり、寂しくもあり

[2020/12/25 6:01 am | Cattery Amangroup/阪根美果]

今日、新しい家族のもとへ子猫が巣立ちました。私がブリーダーになってもうすぐ21年が過ぎようとしていますが、子猫の旅立ちはいつも嬉しい気持ちと寂しい気持ちが混在します。何度経験してもそれは変わりません。子猫が産まれてから巣立つまでの約3カ月。短いと感じるかもしれませんが、その間に本当にいろいろなことがあります。

出産してから目が開くまでの10日間はちゃんとお乳が飲めているか、体重は増えているのかと毎日ドキドキしながら体重測定をします。最低でも5~10グラム増えているとホッとします。増えていないとなると哺乳をしなければと2時間おきにシリンジや哺乳瓶で与えます。しかし、この哺乳もとても神経を使います。誤飲をさせて肺にミルクが入ってしまうと、それが原因で亡くなることもあるのです。ですから、慎重に少しずつ飲み込む様子を見ながら与えていきます。2時間おきですから、夜中でも関係ありません。しかし、「ママのお乳じゃないといやっ!」という子猫もいて、そうなると涙が出るほど困ってしまいます。命に関わりますので。

生後10日ほどで目が開くと一気に愛らしい顔立ちになります。順調に生後2週間を過ぎると、少しだけ安堵します。「このまま順調に育ってください」と毎日願いながらサポートします。冬場は産箱の下にヒーターを入れて、部屋の温度や湿度にも気を遣います。母猫は出産で免疫力が落ちていることがあるので、サプリメント等でそれを解消するようにしますが、ときどきくしゃみをしたりすることがあります。そのくしゃみを聞いたらもう大変です。すぐに母猫を連れて病院へ走ります。母猫からもらったある程度の抗体が子猫にあるとしても、ウイルスなどが感染したらそれこそ大変です。やはり命に関わる事態になってしまうからです。この間も毎日の体重測定や母猫・子猫の様子を度々観察しながら過ごします。毎朝、起きて一番に産箱を覗きます。子猫が元気にしていると心から安堵します。

生後1カ月になると、離乳食を食べ始めます。これもまた子猫によって時期が違います。離乳食を食べ始めると一気に大きくなります。ですから、なかなか食べない子はこれまた心配になるのです。好みもあるので、離乳食も数種類用意しておきます。食べてくれると、これまた安心します。しかし、このころから動きも活発になり、行動範囲も広がります。元気に遊んでくれるのはよいのですが、高い場所に登っては「降りられないよ~」と鳴いて懇願します。そして、ときどき落ちたりします。私としては、今度は怪我をしないかとハラハラします。行方不明になる子もいたり、驚く場所で発見することもしばしばです(笑)。

わが家では、生後50日を過ぎたころに1回目のワクチン接種をします。接種後の1週間は副作用がないかどうか慎重に見守ります。この後も病気や怪我に注意しながら、成長を見守ります。オーナーさんがすでに決まっていることもあり、そうなると余計に気を遣います。1回目のワクチン接種から3週間後に2回目のワクチン接種とマイクロチップの装着をします。無事にこの日を迎えられると、安堵します。

数日間ワクチンの副作用などがないことを確認してから、オーナーさんが決まっている子は新しいお家へ巣立っていくわけです。手塩にかけて育てた子猫たちなので、素敵なオーナーさんが決まることはとても嬉しいことなのですが、反面、寂しくもあるのです。毎回、寂しい気持ちを抑えながら、送り出しています。心からの幸せを願いながら。

[Cattery Amangroup/阪根美果]