猫との暮らしで知っておきたいこと Vol.22

【猫飼いTIPS】猫の飼い主は健康になれるの!?

[2020/08/10 6:01 am | 編集部]

以前より、ペットが私たち人間に癒しの効果を与え、それが健康維持に良い影響を与えているという研究結果が公表されてきました。「アニマルセラピー」という言葉を聞いたことがある飼い主さんが多いと思いますが、それはペットと触れ合うことでストレスを軽減し、精神や身体の不調を改善させていくという考えです。世界中の多くの研究結果の有効性を受けて、広まったものなのです。私たち飼い主は日々、愛猫と触れ合うことで、癒され、笑顔が多くなり、活力を得ていることでしょう。このコロナ禍においても愛猫と触れ合うことで、ストレスが解消されていると感じることも多いのではないでしょうか?今回は猫を飼うことによる効果についてのお話です。

「1秒に5cmほどの速度」で触れると最高に癒される

人が柔らかいものを撫でたとき、気持ちよさを感じる神経線維の「C感覚繊維」が脳に信号を送ります。その信号を感じて、脳内には「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」が放出されます。飼い主が愛猫の柔らかい被毛を撫でていると、穏やかな気持ちになるのはそのせいなのです。「C感覚繊維」は人の体温程度の柔らかいものに触ったときによく反応すると言われています。特に長毛種の猫の被毛は他の動物に比べると毛並みが柔らかく、その触り心地は何とも言えない気持ち良さがあります。猫の被毛は、より「オキシトシン」が分泌されやすいのです。

イギリスの神経心理学者グレグ・エシックらの研究結果によると、人は「1秒に5cmほどの速度」で柔らかいものに触れた時が最も気持ちいいと感じる、また、腕よりも顔の方がさらに効果的されています。「1秒に5cmほどの速度」と言えば、実は私たち飼い主が普段から自然に行っている行為に近いのです。愛猫をゆっくり撫でたり、頬ずりしたり、お腹に顔をうずめて首を左右に振ってみたり……。腕よりも顔の方がさらに効果的なのは、顔には「C感覚繊維」が多いことが要因のようです。

「猫との触れ合い」→「C感覚繊維が脳に信号を送る」→「オキシトシンが分泌される」→「幸福感を感じる」→「ストレスが軽減される・不安やイライラを抑える」→「人の健康に効果がある」ということです。愛猫に触れることは、飼い主にとって有益な効果があるのです。

愛猫との触れ合いで飼い主のオキシトシンの量が多くなるように、触れられた愛猫の体内でもオキシトシンの量が多くなることが世界中で証明されています。お互いにとってスキンシップは幸せを感じる行為なのです。

猫を飼うことで心筋梗塞・脳卒中などの死亡リスクが低減する!?

猫に触れることで得られる効果は他にもあります。オキシトシンが分泌されることで、ストレスホルモンであるコルチゾールを抑制することができるため、血圧が安定するのです。論文のアーカイブサイトPMCに掲載されている「Cat ownership and the Risk of Fatal Cardiovascular Diseases. Results from the Second National Health and Nutrition Examination Study Mortality Follow-up Study.」によると、猫の飼い主は心筋梗塞や全ての心血管疾患(脳卒中を含む)による死亡リスクの低下が観察されたということです。猫を飼うことはこれらの疾患のリスクを減らすための新しい戦略になるかもしれないと述ベられています。猫から得られる癒しによって、ストレスが軽減されることが大きな要因になっているのです。

PMCは、米国立衛生研究所 (NIH) 内の国立医学図書館 (NLM) の部署である国立生物工学情報センター (NCBI) が運営する生物医学・生命科学のオンライン論文アーカイブで、240万本以上の論文を無料で読むことができる。

猫のゴロゴロ音は人にもメリットがある!?

猫の飼い主なら一度は聞いたことがある猫のゴロゴロ音。猫がこの音を出しているときは「甘えているのかな?」と飼い主は嬉しくなることでしょう。このゴロゴロ音は、「咽頭」の筋肉が収縮して、声帯が振動することで鳴っていると考えられています。喜んでいるとき、幸せな状態のとき、母猫と子猫がコミュニケーションを図るとき、また、少し音は低めですが、危険を感じたときや苦しいときにも鳴らすことがあります。逆に飼い主に何かのお願いをしている時には音が高めになると言われています。

この猫のゴロゴロ音の周波数は、おおよそ25ヘルツの低周波です。20~50ヘルツの音は体の緊張をほぐす「副交感神経」を優位にすることができると言われています。内臓の働きや代謝・体温などをコントロールする自律神経には2種類あって、活動する昼間に活発になるのが「交感神経」で、ゆったりとリラックスしている夜間に活発になるのが「副交感神経」です。ですから、「副交感神経」を優位にするということは、リラックスすることを促進するということなのです。

さらに、猫の25ヘルツのゴロゴロ音には骨に含まれる骨芽細胞や破骨細胞を活性化し、骨密度の維持に役立っているという研究結果もあるのです。愛猫と一緒に寝ている時に、猫のゴロゴロ音が体全体に響き渡っているような感覚を感じた飼い主もいることでしょう。猫のゴロゴロ音には癒しと医学的な作用があるのです。

まとめ

猫を飼うことは飼い主にとても大きな効果をもたらします。愛猫がそこにいるだけで幸せな気持ちになりますが、更に医学的な作用があるのであれば、素晴らしい猫ライフが送れそうです。猫と幸せに暮らすことは、最強の病気予防策かもしれませんね。

[編集部]