「暮らしの中の祈りの道具展」で見た新しいペット供養のカタチ

[2019/02/05 6:00 am | 編集部]

東京・新宿区にある住まいとインテリアの情報センター「リビングデザインセンターOZONE」で、「暮らしの中の祈りの道具展」が開催されました。

「暮らしの中の祈りの道具展」

この展示会は、故人を偲ぶこと、先祖を敬う気持ちといった日本の祈りの文化を継承しつつも、時代とともに多様化するライフスタイルの変化に対応しながら、現代の暮らしに寄り添うことができるさまざまな「祈りの道具」をセレクトして紹介するものです。ペトハピでも取材しましたので、ご紹介したいと思います。

recolle(レコレ)

「recolle」は、大切な家族であるペットが亡くなったあとに、どのように偲んでいくかという想いから生まれた小さな骨壷です。「HOUSE」は名前のとおり家型の骨壺で、遺骨や思い出の品を内部に納めることができます。「FRAME」は額縁型の骨壺で、真鍮製の小さな骨壺と写真と一緒に偲べます。真鍮製のモチーフや遺骨入れはアクセサリー職人が手づくりし、家型やフレームは熟練の木工職人による手仕事でつくられています。

recolle「HOUSE」
recolle「FRAME」

ぎやまん郷

“聖なる場所”とう意味の「オルター」は、代表の伊藤 ナナさんを中心としたガラス工芸作家と木工職人がコラボして誕生させた、ガラスと天然木の仏壇です。オーダーメイドで一つひとつ手づくりされた吹きガラスやステンドグラスからは、色彩豊かな光が優しく差し込みます。背面にはLEDバックライトが配置されているので、本棚など自然光が入らない場合でも明かりがとれます。

片開きタイプ
観音開きタイプ

アルテマイスター

約120年の歴史をもつ会津若松の仏壇・仏具メーカーのアルテマイスターは、伝統を重んじながらも、その時代に合う人々の暮らしのなかに、現代の「祈りのかたち」を創造しています。今回は、陶芸作家・伊藤 慶二さんの厨子をもとに設計された「仏堂」と、背面にテキスタイルデザイナーの粟辻 博さんの文様を配した仏壇「万象」を展示。

「仏堂」
「万象」

まなか

大切な人を想う古くからのしきたり「偲ぶこと」の真ん中と向き合い、現代の暮らしのなかで見つめ直した新しい供養の形を提案。「家継具 引と斥(かけいぐ・いんとせき)」は、位牌やご本尊を置くといった仏壇としての基本機能を持ちながらも、大切な方々とのつながりをいつでも心に引き戻せるようにと、形見を保管する場所を持った新しいカタチの仏壇です。20の形見を納めるスペースがあり、世代を超えて受け継ぐことができます。

「家継具 引と斥」
自由に組み替えできる供養台「JOY」

旅する仏壇

「旅する仏壇」は、最高級素材の代名詞として有名な唐木銘木の無垢材を使用。伝統工芸士・東京唐木仏壇の職人が熟練の技で一つひとつ手づくりする小さな持ち運べる仏壇です。500mlのペットボトルほどの大きさの箱に、位牌・おりん・りん棒・香炉などのすべてを納めて持ち運びが可能です。

旅する仏壇

■haco project

作家・古渡 章さんによる、手のひらに包める大きさの天然木の匣「櫂(KAI)」。自宅の庭の木やお墓のある墓苑の木など、故人にゆかりの木などを見つけて依頼すれば、たったひとつの匣を、一つひとつ手づくりしてくれます。遺骨など大切な想い出を天然木の器に入れ、棚・デスクやベッドサイドなど身近に置いたり、一緒に旅したりできる。いつか死が訪れるときには一緒に火葬し、消えて引き継ぎしません。

地球に生まれ地球にかえる
ひとつとして同じ顔はありません

瀬尾製作所(Sotto)

金属製仏具の約90%以上のシェアを誇る高岡は、約400年の歴史をもつ金属加工の産地。現代の暮らしにそっと寄り添う仏具ブランド「Sotto」は、そんな工芸の町でつくられています。2018年度GOOD DESIGN賞を受賞した「Paddle」は、ガラスでつくられた置台にさり気なく置かれたリン棒が印象的な透明感のある佇まいのおりん。「Caprin」は、持ち手を掴み、りん棒を叩いて音を鳴らすのが特徴です。それぞれ澄み渡った音色が響きます。

「Paddle」
「Caprin」

カドミ光学工業(FROM NOWHERE)

光学ガラスのもつ素材の力と加工技術を活かした「FROM NOWHERE」は、精神的な暮らしを提案するブランドです。2018年度 GOOD DESIGN BEST100を受賞した、遺灰や形見を納める“祈りの道具”「映箱(うつしばこ)」や、見る角度により像が見え隠れする「射映枠」、ガラス製のおれい「水平鈴」を紹介。細長く透明な「水平鈴」は、見た印象と等しく透き通った繊細で伸びやかな音色を奏で、金属製のお鈴とは違った独特の空気感を醸し出します。

「射映枠」と「映箱」
「水平鈴」

GINZA TANAKA/田中貴金属ジュエリー

ジュエリーやブライダルで有名な宝飾品ブランド田中貴金属ジュエリーは、現代の居住空間にも馴染むコンパクトさと、デザイン性を兼ね備えたモダン仏具「伝 -DEN-」を展示。プラチナ900や18金を使用し、卓越した貴金属加工技術と熟練の職人による技巧から生まれた逸品は、本物だけがもつ上質な輝きを放ち、仏鈴は澄んだ音色を奏でます。

プラチナ製仏具
18金製仏具
[編集部]