愛犬と暮らし始めると、トリマーやドッグトレーナーなど、さまざまな場面でプロのお世話になることが多いかと思います。
そんなプロフェッショナルや金の卵が集まり、日々磨き上げた技術や感性を最大に発揮し、腕を競い合う「全国トリミング・家庭犬訓練競技会/デザインカットコンテスト」が10月26日に東京武道館で開催されました。この競技会を取材してきましたので、写真とともにご紹介します。
全国トリミング・家庭犬訓練競技会/デザインカットコンテストは、「トリミング競技」「家庭犬訓練競技」「デザインカットコンテスト」の3部門で競技が行われました。
トリミング競技は、学生の部と一般の部に分かれ、それぞれ「初級」「中級」「上級」の3クラスが設定され、学生の部には44名、一般の部には13名がエントリー。そして、下記の条件に応じて、制限時間の2時間以内にトリミングを仕上げていきます。
初級:指定犬種におけるペットクリップ、ショークリップ
1.トリマーとしての正しいマナー
2.犬・道具・器具の扱い方
3.運動性のある順序よい作業進行
4.グルーミング(ベーシック)の仕上がり
5.真っ直ぐにトリミングができる
6.左右対称のトリミングができる
中級:指定犬種内におけるペットクリップ、ショークリップ
※初級クラスを基本に以下の項目を審査
1.犬の特性を理解してトリミングができる
2.立体的なトリミングができる
3.全体のバランスが図れる
上級:指定犬種内におけるショークリップ
※中級クラスを基本に以下の項目を審査
1.犬の特性を理解してトリミングができる
2.長所・短所を見分けたトリミングができる
3.歩様により、カットスタイルが保持できる
トリマーを夢見る学生がエントリーの中心となっていますが、真剣な表情で取り組む姿が印象的でした。そして、素人目線ではありますが、見事なトリミングのテクニックに見とれてしまいます。
また、トリミング競技の隣では、デザインカットコンテストも同時に開催されました。実際に活躍中のプロのトリマーと学生の総勢35名がエントリー。それぞれがデザインカットのテーマを掲げて競技に挑みます。
「カット技術」「基礎デザイン力」「フェイスメイク」「一般共感性」「独創性」の項目に、仕上がりスピードやドッグケア(犬への負担の少ない接し方)のボーナス項目としてポイント合計を競い合います。
ちなみに、どちらの競技も制限時間は2時間となっており、開始60分後にはモデル犬に10分間の休憩を設けるルールとなっています。
競技が終了すると、全員がその場で犬と一緒に審査を待ちます。トリミングテーブルの上の犬たちも一緒におとなしく待っているのに驚きます。
そして、家庭犬訓練競技会には総勢59名がエントリー。こちらは「初級」「中級・上級」「上級・アジリティー」の部門で腕を競い合いました。
初級:5m直線コース
1.オスワリ:スタート地点で「スワレ」の状態でアイコンタクト5秒間
2.フセ:スタート地点で「フセ」の状態でアイコンタクト5秒間
3.オスワリ&マテ:「スワレ」の状態から「マテ」を指示し、リード1本分離れ、アイコンタクト5秒間。その後ヒールポジションに戻る
4.フセ&マテ:「スワレ」の状態から「マテ」を指示し、リード1本分離れ、アイコンタクト5秒間。その後ヒールポジションに戻る
5.オイデ:「スワレ」の状態から「マテ」を指示し、リード1本分離れ、自分のタイミングで犬を呼び、対面停座させたあとにヒールポジションにつける
6.脚側歩行(往復):「アトへ」の声とともに歩き出し、コースを往復。往路の折り返しでは犬に内回りさせて、復路では外回りさせてスタート地点時と同様の体勢に戻る
中級・上級:Z字コース
※初級と同じ内容だが、コースがZ字になり、行進しながら課目を行うため難易度が高い。さらにアイコンタクトは10秒間と長くなる。
1.オスワリ
2.フセ
3.オスワリ&マテ
4.フセ&マテ
5.オイデ
6.脚側歩行(片道)
上級・アジリティー
ハードルなどのジャンプ障害を中心としたコース。競技タイムだけでなく、確実に各々の障害をクリアすることがポイントとなる。
犬と息の合った結果を出して笑顔の参加者もいれば、本番で力を発揮できずにくやしそうな参加者も。アイコンタクトで数秒間「マテ」ができるだけでも、すごいと感じる読者の人も多いでしょう。そして、指示に一生懸命応える犬たちの姿も印象的です。
競技会の最後には、デザインカットコンテストに出場した参加者と犬のペアがパレードを行いました。個性的なデザインカットの犬たちは、また後日ギャラリーページでご紹介します。
どの参加者も真剣な表情で競技に取り組み、競技終了後には犬を褒めて、やさしく撫でながら見せる笑顔がとても印象的でした。プロの技も間近で見られるのはもちろん、こんな人たちがペット業界を目指していたり働いているのかと、うれしい気持ちにさせられる競技会でした。