11月に入り、すっかり気候も冬めいてきました。庭の山茶花も開花して、いよいよこれから寒くなる一方です。
寒くなると気になるのがペットのための局所暖房。ペットによってお気に入りの場所がありますよね。ウチの場合は猫ですが、家の中で何箇所か気に入っている場所があります。そこにペットヒーターを置いておけば、部屋全部を暖めなくてもじゅうぶんにペットを暖められます。より寒い時期には、密閉できるタイプのベッド(「猫マカロン」とか「どらやきベッド」などと呼ばれる、例えばこんな商品です )の中にペットヒーターを仕込んでおけば、効果的な暖房が可能でしょう。
実はこの手の用途には人間用のアンカやホットマットなどでもいいのですが、人間用には粗相をされたり爪とぎされたりすることは考慮されていませんので、この手の癖がある子がいるご家庭では、ペット用のヒーターを選んだほうが安心です。
今回試したペットヒーターは次の3製品です。
あったかヒーター猫鍋 CT-339
- メーカー:マルカン
- 販売店:ECサイトなど
- 参考価格:3900円(11/12編集部調べ)
- サイズ:幅380mm×奥行380mm×高さ80mm
- 重量:780g
- メーカーサイト
見ての通り、あまり説明は要らないと思うのですが、猫鍋型ヒーターです。
一時期流行した猫鍋をご家庭でお手軽に(?)というもの。猫と暮らしている方ならご存じの通り、猫は狭いところに入るのが割と好きな動物で、こうした習性にうまくマッチした製品となっています。
リバーシブルホッとヒーター M DP-887
- メーカー:マルカン
- 販売店:ECサイトなど
- 参考価格:3155円(11/12編集部調べ)
- サイズ:幅360mm×奥行250mm×高さ30mm
- 重量:640g
- メーカーサイト
ペットヒーターのスタンダートなタイプ。同社のカタログによれば「アルパカタッチカバー」だそうですが、要するに起毛のボアタイプのカバーがかかっています。カバーそのものは簡単に外して洗濯ができるので、汚れても安心です。
カバーの裏面は一応滑り止め防止の加工がしてありますが、滑り止め効果はあまりないので、別に滑り止めシートなどを下に敷くなどの対策が必要かもしれません。
本体はプラスチック製でリバーシブルになっており、濃いピンクの側が高温、薄いピンクの側が低温となっています。このあたりはペットヒーターでは一般的で、好みの方を上にしてカバーを被せて設置することになります。
なお先のヒーター猫鍋も同じですが、電源コードは金属カバーでガードされているので、少々噛み癖がある子でも対応できるようになっています。
速ぽか床暖ヒーター
- メーカー:ドギーマンハヤシ
- 販売店:ECサイトなど
- 参考価格:5980円
- サイズ:幅500mm×奥行320mm×高さ30mm
- 重量:500g
ペットヒーターというよりは床暖房に近い構成ですが、500mm×320mmというかなり広い面積と、2分で30℃まで暖まるというスピードが特徴の製品です。
ただし面積が広く、かつ即座に暖まるということは、その分消費電力が多くなるわけで、実際最初の2製品が12W程度の消費電力なのに対し、こちらは19Wとなっています。
どのくらい暖かくなるか実験
さて、それではまず実力というか、どの程度暖かくなるかを実際に確認してみることにしました。
といっても、猫に体温計をつけて測定するわけにもいかないので、水4リットル(ウチの猫の体重が4kgちょいなので、それに合わせました)を乗せた状態でどんな風に温度が上がるのかと、その際の消費電力がどんな具合かを測定してみました。
ちなみに温度測定は自作のArduinoベースの温度センサー、消費電力はサンワサプライのTAP-TST11を使い、10分間隔でほぼ24時間測定しています。
さて、グラフ1が温度変動です。
ホッとヒーターは3時間ほどデータが途切れているのですが、これはサンプリングしていたPCがハングアップ→リブートしたためで、ヒーターそのものはちゃんと動作しています。最終的な温度としては、
- 猫鍋:28.5℃
- ホッとヒーター:25.6℃
- 床暖ヒーター:31.5℃
といったところで、ホッとヒーターの温度がやや低めなのですが、これは結構な頻度でOn/Offが発生しているためです。
消費電力を見ると(グラフ2)、猫鍋と床暖ヒーターは常にほぼ一定の消費電力なのに対し、ホッとヒーターはこまめにOn/Offを繰り返しており、これが温度の差になったものと思われます。
ちなみに平均の消費電力は
- 猫鍋:11.8W
- ホッとヒーター:8.3W
- 床暖ヒーター:20.0W
となります。1か月付けっ放しだった場合の電力量は下記のとおり。
- 猫鍋:8.50kwh
- ホッとヒーター:5.98kwh
- 床暖ヒーター:14.40kwh
東京電力の第2段階料金で試算すると、1か月あたりの電気代は下記のようになります。
- 猫鍋:220円
- ホッとヒーター:155円
- 床暖ヒーター:373円
ホッとヒーターの商品ページには電気代が1時間あたり0.3円と示されていますが、実際には0.21円程度。猫鍋で0.31円といったところで、ほぼ正確な数字になっていることがわかります。
猫に好評なのは? 定点カメラで確認
スペックを確認したところで、では実際にどの程度使ってくれるかをそれぞれ確認してみました(動画はいずれもタイムラプスでほぼ24時間撮影したものです)。
猫鍋
まず猫鍋ですが、そのまま設置したところ一度は使ってくれたものの、その後はほとんど使ってくれませんでした。
ただ「ひょっとして感触『だけ』の問題か?」と思い、前から使っていたフリースを敷いたところ大人気に。無理矢理2匹で使う姿も見られました(12秒〜20秒あたり)
そのまま設置したときには1日のうち20分くらいしかいなかったのに、フリースを敷いただけで24時間のうち20時間は誰かが中に入っているという状態になりました。暖かい上に大きさが手頃だったようです。
結論
そんなわけで、3製品を比較してみた結果で言うと、
猫鍋
猫が1匹の場合なら手頃な製品でしょう。ただ結構大きいので、この点は注意が必要です。すでにある猫ベッドなどと併用は難しいでしょう。ただ「アンモニャイト」を見たいという向きには、買っても損はないと思います。フリースなどを併用すれば猫も快適そうでした。
ホッとヒーター
ある意味スタンダードな製品で、これだけポンと置いてもそれほど喜ばれないかもしれません。ただ、すでにある猫ベッドとか、あるいは猫タワーの上などにこれを設置するのは、冬を乗り切るのに有用でしょう(猫タワーなどに設置する場合は、ずれたり落ちたりしないように固定する方法を考えないといけませんが)。
床暖ヒーター
これはどちらかというと床、あるいは比較的低い場所に設置するほうが良い製品でしょう。「お気に入りの場所がベッドの下」なんて子がいる場合には、床暖ヒーターは最適だと思います。ただし滑り止めの対策だけはしておいたほうが良さそうです。
今回は猫向けを前提にご紹介しましたが、猫鍋以外は犬猫両用なので、もちろん犬用としても使えます。
本格的に寒くなる前にこうしたペットヒーターを用意しておけば、突然寒くなってもあわてずに済みます。まだお持ちでないご家庭は、一度検討してみても良いかと思います。